統計学入門(基礎統計学)

出版:東京大学教養学部統計学教室

価格:3024円(アマゾン調べ)

 

対象者:入門者じゃない初学者

 

【感想】

統計学のおすすめの教科書はあると大学の先生やグーグル先生に聞いたときに、

まず一番最初に紹介されるのがだいたいこの本であろう。

長年にわたっていくつもの大学で教科書として使われてきたこの本は赤本という名前で親しまれている。

しかし、入門統計学とタイトルにあるが統計のとの字も知らないような初心者がこの本を読んだら1章か2章で積読本の中に入れてしまうだろう。

 

その理由としてはこの本は入門本と謳っておきながら他の統計学入門本と比較して数学的な内容が充実しており、聖ペテルスブルクの逆説など知的好奇心を刺激するような例も多数取り上げられておるが、

その反面少々厳密で難易度が高い。

 

そのため基本統計学などで統計の初歩をある程度固めてから読むのが最適だと思われる。

 

だが、統計学をがっちり学びたいと思っている人にとってはいつでも手元に置いておきた良書である。

モーメント法やチェビシェフの不等式、ガウスマルコフの定理にまで触れており学部で習う統計学の教養的な部分をほぼ完ぺきに網羅している。

図も細かく書かれており、中心極限定理大数の法則と言った確率統計のかなめとなる定理や法則においては乱数を用いた実験の詳細が書かれているなど理論だけではなく直感的な理解にも考慮して作成されている点は非常に良かった。

数学も上で厳密に書かれているとは述べているがあくまで数理統計程厳密には書かれておらず、Σと高校の数学そしてある程度の微分方程式の(偏微分くらい)知識があれば7章以外はすらすら読めると思われる。

 

欠点を上げるとすると発行から20年近く経っているにもかかわらず改訂版が出されず少々コラムの内容が古いなと感じ。(最新ソフトのRなどについての言及がない)

 

 

姉妹本として自然科学の統計学や人文社会科学の統計学があるがそちらの本ではこの本の知識を前提として話が進むため入門統計学を読んでからそちらを読むとよい